MEMORY





雨が降っていた。ある大きな街の大きな屋敷の前で一人の少女が倒れていた。
少女は気を失っていた。
その屋敷のメイドらしき女性が少女を見つけその屋敷に運び入れ、
主人にその旨を伝えていた。
その家の主人は「好きにしろ」とだけ言って出て行った。

「ん・・・・うん・・・・・」
「目が覚めましたか?」
「えっと・・・・・・すみません。此処どこでしょう?」
「此処はセインガルドの首都ダリルシェイドですよ」
「はあ・・・・・」
「申し遅れました。私、この屋敷のメイド長のマリアンという者です。
よろしくお願いします」
「あ、私は・・・・私は・・・・・誰だっけ?」
「記憶喪失・・・・・ですか?」
「ははは。そうみたい」
「では、しばらく此処にお住みになるといいですよ。
ご主人様には好きにしろと言われましたので」
「ありがとうございます。お世話になります」
やっと目を覚ました少女は記憶喪失という状況に立たされてしまった。
「マリアン・・・・・」
「あ、リオン様」
「その女は誰だ?」
「この子は・・・記憶喪失で名前が分からないそうなんです
ですが年頃はリオン様と同じ位なのでお話ししてさし上げてください」
「マリアンが言うなら・・・」
「では、私はお仕事がありますので、何かあったら呼んで下さい」
そしてマリアンは仕事に戻っていった。その後の2人には重い沈黙があった。
「えっと・・・・あんた名前は?」
「名前のない奴に何故僕が名乗らなければならない?」
「むう〜。なら名前付けて」
「何故僕が他人の面倒なんか見なければいけないだ?」
「さっきから否定的だね。じゃあ、まず名前教えて。その後自分で名前付けて名乗るから」
「・・・・・リオン・マグナスだ」
「リオン・・・・・ね。私は、〜・・・・・・そうだなぁ・・・・・」
暫く少女が考案した後、
「よし!に決めた」
「由来はなんだ?」
「いや、なんとなく」
「変な奴だな」
しばし沈黙・・・・・
と名乗った少女にはリオンと名乗った少年の姿に見覚えがあった。
しかし、それ以上のことは思い出せず、また、他の事は何も覚えていなかった。
「この後のことはどうするつもりだ?」
「マリアンさんが暫く此処に居なさいって言ってたからそのつもり。
他に当てもないし。わざわざ漂白の旅に出るほど無謀でもないしね」
「しかし、ここはヒューゴ様の屋敷だ。好き勝手振舞われると困る。
他のメイドと同じことをしていれば問題はないだろうが」
「でも、好きにしろって言われたって言ってたよ?それに・・・・面倒」
は思い切りため息をつかれてしまった。
そもそも、はこの屋敷に厄介になるのだから、
手伝い位はやってもばちは当たらない。
しかし、やる気起きなかったのだった。
「好きにしろ」
「うん。そうする。・・・・どこ行くの?」
「城だ」
「ふーん。城って楽しい?」
「つまらん」
そこで会話が終わり、リオンは部屋から出て行った。
「は〜。この部屋で一人になると広く感じるなあ」
など、独り言をぼやいてみる。
数日間、衰弱した体を休養するとすっかり元気になり、むしろ「なまった」と言って
積極的にマリアン達メイドの手伝いをしていた。
その間、記憶が戻ることもなかったが。

「そうですか。生活していく上でお名前がないと不便ですものね」
「うん、だからって名前にした」
「良い名前ですね。リオン様は何か言いましたか?」
「いいや、何も。表情の一つも変えなかった」
「まだ、心が開けないでしょう・・・・・でも、気になさらないでね?」
「平気」
「ふふ。それにしても、貴女を見ていると妹が出来たような気になりますね」
「姉妹とか居るの?」
「いえ・・・・・・」
「そっか」
がこの屋敷に来てから早4ヶ月が過ぎようとしていた。
が手伝いをするのは日課になっていて今日もまた、手伝いを始めた。が・・・・・・・
「あの・・・・さん。普段着でお仕事するとやっぱり汚れてしまいますから、メイド服着ませんか?」
メイドの一人が少し、控えめな様子でそういった。
は、メイド服なんて嫌だと内心思いながらも
普段着が汚れるのも嫌だったので了承した。
「やっぱり似合わない・・・・・」
等身大の鏡に向かいながら渋い顔ではそうぼやいた。
それとは裏腹にさっきのメイドは「とっても可愛いですよ」と言って
「他の方々にも見せましょうよ。ね?」と言って、さっきの控えめな姿はどこへ行ったと
言わんばかりに走り出した。
「きっとこれが目的だっただ。私としたことが・・・・・まんまとやられた」
はとっとと脱ごうかと考えたが、
着替えているうちに誰かが入ってきても困るので逃げることにした。
今なら普通にドアからから出ても十分平気だろう。
そう思ったので、堂々とドアからでる。だが・・・・・・
「あ」「あ」
とリオンは同時に声を発した。
「な、何故に此処にいらっしゃるですか!?」
自分なにきょどってんだと胸中でツッコミを入れながらも体はパニくっていた。
「いや、此処にマリアンが居ると思っただけなんだが。ん、そういえば何故お前が
そんな格好をしている?」
「騙された」
「ふん。馬鹿
「失礼ね!あ、こんな事している間に誰か来ちゃうじゃん
は部屋から一目散に逃げようとしたがリオンに腕を?まれ阻止された。
「あの〜その腕を放して頂けませんか?」
そう肩越しの少年に声をかけるが返事は返って来なかった。
その代わり顎を肩に乗せていきなり抱きついてきた。
「な!えぇ!!ちょっと・・・・・」
「しっ!」
耳元で囁かれた足に力が入らなくなっていて
座り込もうとしたところに足をすくわれ、お姫様抱っこというやつをされてしまい、
さらにパニくっただった
そんな見て楽しんでいたリオンはドアを開けどこかに向かっていた。
「あ、あの〜どこへ行くでしょう?」
「そのうち分かる」
そのうちって何時よ?と胸中でまたぼやいた。

いくらかでかい屋敷を行くと一つの部屋に辿り着いた。
「ここは?」
「僕の部屋だ」
「何で、隠す必要があったの?」
「反応が面白かっただけだ。
ついでに言うとお前に話したい事があったから此処に連れてきただけだ」
「何だ。つまんなー
「何を期待しているだ」
部屋に入るとシンプルで片付いている割に高そうな調度品が並んでいて、
自分がこの部屋に居て良いのだろうかという気さえしてくる。
「それで話しって何?」
「お前はこれからどうするだ?」
「どうって言われても記憶も戻らないし」
「ふう・・・・単刀直入に言うがこの屋敷からは早めに出て行くことを勧める」
「何で?」
「この屋敷の主、ヒューゴは僕の父だが、何か・・・・・違和感がある」
「じゃあ、あんたこの家の人だっただぁ〜。・・・って、えぇ!!!」
「驚くのが遅いと思うが・・・・」
最近ではリオンも心を開いてくれている様に見える。端からは。
実際は遊ばれているようなものだが。
「でも、じゃあ、うしろって言うのよ!」
つい大声を出してしまった声が廊下を通りかかったレンブラントに聞かれていたことは知る由もない。
そして、レンブラントがとリオンの仲をヒューゴに言ってしまうことも。
「僕がお前にそういっているのは、
同じ年頃の友達で大切だと思っているから・・・・・」
「でも・・・・・私にうしろって・・・・・」
はついに堰を切ったように泣き出してしまった。
そんな見ながら困ったリオンは、背中をさすってやった。
泣いている見て、
『思えばいつも気丈に振舞っていたが家族にだって会いたいだろうし
記憶がないことで不安もあるだろう』ということを今更ながらに思った。
それから一時間ほどして、やっと落ち着いた例の如くお姫様抱っこで
ソファまで運び一息ついてリオンは照れくさそうにこう言った。
「記憶が戻って家族のもとに帰れるまで・・・・
守るから・・・・・もぅ泣くな・・・・・」
はどうして自分のことも分からない私にそう言ってくれるのか
不思議でならなかったが一生このままでも良いと実は本気で考えていた。
そんなことを考えながら一言だけ「うん」とだけ答えた。
そして、
「さっきは泣き出してごめん。なんか、この先私はどうなるだろうって
すごく不安になって・・・・・
この屋敷から出て行ったほうが良いとか言われて・・・・・・んん」
うつむき加減で話していた顎が上げられて口を塞がれた。
「ん、んん・・・・・・・ふ・・・・・んん・・・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・・」
やばい。私の初が・・・・・と荒い息をしながらまた胸中でぼやいた。
「僕の言い方が悪かった。不安にさせて悪かった」
「もう、平気。泣きはらしたから」
晴天のような笑顔でそう言った見てリオンはときめいていた。
そして、マリアンより好きかも知れない。と自問自答していた(笑)
「平気ならいいが///」
「心配してくれてありがと。」
2人は見つめ合ってキスをした。今度はいきなりじゃなくてゆっくりと。
暫くしては「そろそろ部屋に戻る」と言って出て行こうとした。
最後にリオンは目線を外し「その服似合ってる」と言った。
は逃げるように自分の部屋に行って、いつも大人びて見えるけど、
今日のリオンは子供っぽかったぁ〜と更なる胸中の叫び。

『いつ記憶が戻るか分からないし不安な事もあるけれど、
皆良い人だから何とかなる!さぁて今日はもう寝よう』



この先ヒューゴの計画にマリアンと生贄になるのは言うまでもない。
そして、が元の世界に還ってこれた理由は誰も知らない。
『あの世界』のことを考え、現実世界が嫌いになった少女は、いつまでも
あの、幸せだった日々を思い出しては泣く毎日を繰り返していた。
そして、自分の思い出の記憶に蓋をして、何時の日か彼が迎えに来てくれる日を夢見て・・・・・。







後書。



はい。お久しぶりです。かなりほったらかしにしていた役割(小説かき?)復活!
途中は結構良い感じでシリアスのようなギャグ・・・・だったのに
最後結構悲しい終焉を迎えてしまいました・・・・
しかも、無理やり終わらせた節がありますね。随分無理やりです。ごめんなさい。
ともわれ、ドリームテイルズ。初書き。とても書きにくいです。
まあ、そんな中で一番動かしやすかったのが
なんと、自分でも意外だなあと思うマリアンさんでした。
そして、私が何故このようなものを(文章下手くそなくせに)書こうかと考えたのは、最近こちらに書いていないので
久ぶりに書こうってことになり、かといってネタもないので、じゃあドリームにしよう!!って感じでトントン進んで行きました。
書いていて面白かったのが胸中のぼやきが胸中の叫びに変わったところ。


本当にへぼい小説で誠に申し訳ありません。
しかし、まあ、この小説は管理人仁科に書いたものなので
(うちのサイトの開設記念みたいなもので)
直接は仁科さんにごめんなさいです。
なんかもうリオンじゃないかもって節があるですけど、そこは相手だからってことで。そういう解釈でお願いします。

ここまで、読んで下さった方にはありがとう100回言っても言い足りないぐらいですが懲りもせず書いたときはよろしくお願いします。


Moon Nightの管理人金の亡者






仁科さんからお返事。
なんか書いてくれるって言ったで頼んじゃった
リオン夢リオン萌えー可愛いー
私あんまり、悲恋モノって読まないけどこれは結構楽しめた、かな?
ってか、コレを読んでからマリアンのイメージが変わった(笑)

…現実に、こういうオトコノコがいると良いのにねぇ…。(しみじみ)
金の亡者サン、Thanks★ミ
今度絵でも送ります返品不可で(笑)

2004.3.9 仁科 慧瀬


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